体調が悪く風邪かなぁ?と思い病院で診てもらうとお医者さんに「おそらく胃腸風邪ですね」と言われた経験があると思いますが、胃腸風邪という名前の病名はなく医学的には、感染性胃腸炎というのが本当の病名なんですね。
感染性胃腸炎は胃腸炎の総称として使われ、大きくわけてウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎の2つあるのですが、ウイルス性胃腸炎のことを胃腸風邪というような俗称で呼ぶことが多いわけなのです。
胃腸炎とはどんな病気?原因と症状や治療法について徹底解説!
通常の風邪ですと、鼻水が止まらない症状や痰が絡む症状、喉の痛みなどがあるわけですが胃腸風邪の場合では、胃痛が突然起こり下痢や嘔吐の症状を発症して苦しめられることになります。
急に症状が現れて私たちを苦しめる胃腸風邪はどれくらいの潜伏期間があって発症するのでしょうか?
そこで今回は、胃腸風邪=ウイルス性胃腸炎の症状や原因・潜伏期間と治療法についてご紹介していきたいと思います。
また、同じ感染性胃腸炎であるウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎ですが、その原因となるものや感染経路については異なってきますから細菌性胃腸炎についても詳しくお伝えしますのでご参考下さい
目次
そもそも胃腸風邪とは?
胃腸風邪とはウイルスなどによって胃腸などの消化器官に下痢や嘔吐などの症状が現れる体調不良の総称で、軽い食中毒(食あたり)なども胃腸風邪と呼ばれることがあるほど、その境界はあいまいなのです。
大人がかかる胃腸風邪の場合、ウイルスに感染しやすくなる大きな原因としてストレスが挙げられるのですが、このストレスが溜まると自律神経の働きが乱れ、血行が悪くなり免疫作用のある白血球の作用が落ちてしまうことでウイルス感染しやすくなるといわれております。
ウイルス性胃腸炎の原因や症状
ウイルス性胃腸炎=胃腸風邪は、その原因となる主なウイルスがノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスで、この3つのウイルスの感染経路については、次のようなものになります
- ノロウイルス=経口感染・糞口感染
- ロタウイルス=経口感染・糞口感染
- アデノウイルス=経口感染・糞口感染
※経口感染:病原体が口を通って消化管から侵入するような感染
※糞口感染:病原体が糞便が手指を介して経口摂取される感染
経口感染としては、接触感染(便・吐しゃ物に接触した手を介して感染)・飛沫感染(吐しゃ物などからの飛沫を吸入して感染)・塵埃(じんあい)感染(便・吐しゃ物の小粒子が空気中に舞いそれを吸い込んで感染)が要因となっています。
ウイルス性胃腸炎は感染力がとても高いため学校や会社など多くの人と接触するような場所へは集団感染防止の為にいかないようにと病院での診断時に言われると思います。
ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスについての症状や潜伏期間について詳しく解説いたします。
ノロウイルス
生の牡蠣を食べて感染することが有名ですがきざみ海苔から小学生が集団感染した事例もあり食品全般がノロウイルスの対象になってきています、二次感染が非常に多く、発症した人の吐しゃ物などを処理した人が感染してしまうケースもあるわけなのです。
潜伏期間:1日~2日
症状:激しい下痢、嘔吐、発熱、悪寒
症状が発生する期間:1日~2日
ロタウイルス
幼児がかかりやすい胃腸炎で、排泄物が白くなります。
産後、間もなく免疫力が落ちている状態のお母さんがおむつ処理をした場合などでも感染することがあるので子供の感染症と油断しないようにして下さい
潜伏期間:1日~3日
症状:嘔吐、発熱、白色のゲル状の下痢
症状が発生する期間:5日~7日
腸管アデノウイルス胃腸炎
風邪を引き起こすウイルスの一種で、空気中に飛んでおり、胃酸に強く、胃や腸で活発になることで胃腸風邪を引き起こします。
潜伏期間:5日~7日
症状:嘔吐、下痢、発熱
症状が発生する期間:2日~7日
細菌性胃腸炎の原因や症状
感染性胃腸炎のもうひとつの分類である、細菌性胃腸炎とは一般的に食中毒と呼ばれることが多く、人から人へとうつることはほとんどなく、接触/飛沫/塵埃感染はしないのです。
細菌性胃腸炎の病原菌については、カンピロバクター腸炎・サルモネラ腸炎・腸炎ビブリオがあげられますのでそれぞれの症状や潜伏期間について詳しく解説いたします。
カンピロバクター腸炎
鶏・豚・牛の生肉や、犬や猫など動物との接触、井戸水などから主に感染します。
潜伏期間:1日~10日
症状:発熱、下痢、腹痛、悪寒、嘔吐
症状が発生する期間:5日~7日
サルモネラ腸炎
細菌が付着した卵の殻や生卵を食べたときや、ゴキブリ・ネズミなどの害虫が運んできて感染します。
潜伏期間:6~72時間
症状:嘔吐、ひどい下痢、発熱
症状が発生する期間:4~5日(ただし発見・治療が遅れた場合には2週間ほど発熱が続く)
腸炎ビブリオ
生の魚介類や、魚介の加工品に残った菌から感染します。
潜伏期間:4~28時間
症状:激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐
症状が発生する期間:2~3日
ウェルシュ菌腸炎
調理後時間のたったカレーやシチューなどの煮込み料理に増える菌で、高い気温でそのまま放置してしまった場合に感染をしてしまうのです。
潜伏期間:4時間~28時間
症状:下痢、腹痛
症状が発生する期間:1日ほど
胃腸風邪の治療法について
ウイルス性胃腸炎=胃腸風邪の原因となっているウイルスに直接的に効く特効薬のような効ウイルス剤がないので対処療法による治し方が胃腸風邪の治療法となっています。
※ロタウイルスについては、「5価ロタウイルスワクチン」と「単価ロタウイルスワクチン」の2種類のワクチンがありますが乳児以外は接種できないとされています。
胃腸風邪は一般的な風邪とは異なり、主に胃腸が悪くなる状態が長い間継続する病気のため、基本的には胃腸の状態を整えることが対症療法になるのです。
胃腸風邪が原因で腹痛や下痢の症状が続いている場合、できるだけ下痢止めなどは使用せずに、腸の働きを穏やかにする整腸剤などで、胃腸の調子を整えていくことが回復の近道になっています。
胃腸風邪のときの食事と食べ物に関する注意点
胃腸風邪にかかった場合、第一に気をつけなくてはならないことは水分補給です。
下痢や嘔吐が続くとどうしても体の外に出る水分量が多くなってしまい、複合的に脱水症状を引き起こしやすくなります。
整腸剤で胃腸内に溜まっているウイルスを排出しても、下痢や嘔吐が続く時は、こまめに水分補給をして脱水症状を引き起こさないように注意していかなければなりません。
吐き気があると辛いですが、できるだけ経口補水液を積極的に摂取するようにして下さい。
※スポーツドリンクでもいいのですが、体への負担が軽減される観点から水もしくは経口補水液で水分補給することが望ましいです
また「食べて体力をつけなくちゃ!」というのは誤りで、無理に食べなくてもいいですから、腹五分位を目安に温かいおかゆやうどんなど消化に良いものを食べるようにすることが最も良い食事になります。
お粥と一緒に梅干を添えるのもおススメで梅干は、塩分を補給できますから、脱水症状を防ぐという視点でも効果的な食べ物になります。
たまねぎ、キャベツ、ニンジンなどをしっかりと煮込んだ野菜スープもオススメの食事で、野菜を煮ることで胃腸に優しく栄養満点のスープとして召し上がることができますから、体力を回復させるのに効果的なんですね。
逆に食べるのを控えたほうがいいのは以下のものになります。
- 生もの(果物、生野菜、刺身など)
- 冷たいもの
- ねばねばするもの(納豆、オクラ、山芋など)
- 脂っこいもの・肉
- あくが強いもの(ほうれん草、タケノコなど)
- ナッツなど種子類
- うどん以外の麺類
- 辛いもの
- お菓子
- ジュース
- 菓子パン
- 添加物の多いもの
- 乳製品
- お酒
特にグレープフルーツは薬の飲み合わせによっては強い吐き気をもよおすこともあちますから、胃腸風邪に限らず投薬中の場合には控えたほうがよいでしょう。
胃腸風邪をひいたときには体をとにかく温めることが重要で、無理してお風呂に入らなくてもよいので、温かい服装をしてしっかりと横になることが大切です。
横になることで回復が早まるので、デスクワーク位なら・・・と無理はしないようにして下さい。
まとめ
寒い時期になると免疫力が低下してウイルス性の胃腸風邪がはやりやすくなります。
感染しないように気を付けるのはもちろんですが、万が一にもかかってしまった時には体を温めて横になり、しっかりと養生するように注意が必要です。
また、もし胃腸風邪に感染した場合には、むやみやたらに人混みに行かず、感染拡大につながらないように行動することも大切になります。