自宅や職場にあるカレンダーを何気なく眺めていると、何やら漢字二文字前後の言葉が書かれている日が所々にあるのを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?
そんな言葉をいくつも見ているうちに、「立春」や「立秋」、「夏至」や「冬至」といった馴染みのある言葉だけでなく、「清明」という言葉も見つけたことがあると思います。
そんな清明についての意味や由来、また中国の清明節や沖縄の清明祭とどんな関係があるのか?などまとめてみました!
そして2018年の清明はいつなのか?ということをお伝えしていきますのでご参考下さい。
清明の由来を知ることで「なるほど、こういう意味があったのか!」「テレビなどで見かけたことのある光景は清明祭というものだったのか!」というように感じていただけると思います。
清明の意味
「清明」は「せいめい」と読み、「二十四節気(にじゅうしせっき)」の1つであるのですが「すべてのものが清らかで生き生きとする頃」という意味があります。
ちなみに二十四節気とは、一年を24等分して、それぞれに季節の名前をつけた暦のようなもので、清明もその24のうちの1つとされています。
1787年(天明七年)に出版された、暦についての解説書である『こよみ便覧』には、清明について「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草と知れるなり」と記載されています。
これは「草木が芽吹いて清々しく、その草木の種類が明らかになる頃合い」という意味で、清明は草木が芽吹いて生き物が元気に動き回る頃・・・つまり春先の時期を指していることになるのです。
この「清々しい」という意味の「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」という言葉を略して「清明」とされたとも言われていて、「清明」は「清く明らかなさま」「はっきりとした様子」という状況を表現する言葉としても使われています。
清明の由来
清明は二十四節気のうちの1つですが、この二十四節気はもともと古代中国から日本に伝わって来たとされており、古代中国では季節を春夏秋冬に四等分する暦のようなものとして考案されました。
現在用いられている「太陽暦」とは反対に、当時の古代中国では月の満ち欠けを観察して一年を決める「太陰暦」を用いていましたが、太陽暦と比べて太陰暦は一年ごとに11日ずつズレが生じてしまう性質があったため、数年ごとに修正をする必要があったのです。
古代でも現代でも大切な生産活動と言えば、生きるのに欠かすことの出来ない食物を作る「農業」であり、農業では決まった季節に種まきをしたり刈り入れをすることがとても重要になります。
一年ごとに11日もズレてしまう太陰暦を参考にして作業をしてしまうと、その種まきの時期がまちまちになって都合が悪くなってしまうため、月の満ち欠けではなく季節を基準にした暦が必要とされて二十四節気が生まれたのでした。
清明節について
中国の二十四節気には「清明節(せいめいせつ)」という伝統的な祝日があり、清明節には祖先のお墓参りをして草むしりなどを行い、お墓を掃除する日でもあるため「掃墓節(そうぼせつ)」とも呼ばれています。
日本のお盆と少し似ていますが、清明節の時期は気候が良く、春を迎えて郊外などを散策する日でもあるので「踏青節(とうせいせつ)」と呼ばれることもあるのです。
この「踏青(とうせい)」とは「春の青草を踏んで遊ぶこと」「春の野遊び」という意味があるので、ピクニックのようなイメージを持つと想像しやすいと思います。
古くには「掃墳節」「祭祖節」「鬼節」「三月節」などとも呼ばれた中国の清明節ですが、その前日~2日前の日は「寒食節(かんしょくせつ)」と言って火気の使用が禁止されているのです。
煮炊きしないものを食べることを意味する「冷食」を行いますが、この「寒食節」も清明節と同様に伝統的な祝日であり、「百五節」とも呼ばれています。
沖縄の清明祭(シーミー)
沖縄には「清明祭」(シーミーと発音します)という風習が古くからあり、およそ18世紀頃に中国から伝わったとされていて、中国の清明祭と同じように祖先のお墓参りをして掃除を行い、親族一同がお墓の前で酒を酌み交わし重箱やオードブルなどを食べるのです。
沖縄のお墓は本州とは違い、造りが大きく墓前が広場のようになっているのをテレビなどでも見かけたことのある人は多いのではないでしょうか?
沖縄のお墓がこのような造りになっているのはこの清明祭のためであり、墓前にお供えするのに欠かせない「ウサンミ」と呼ばれる重箱料理があるのです。
「ウサンミ」には、お餅を9~15個並べたお重とおかずを並べたお重、それぞれ2つずつの二対(四重)である「チュクン」という形式が用いられることが多く、一族の女性が集まって作るのに対し、男性は朝からお墓の掃除をみんなで行うことが昔ながらの沖縄のお墓参りの準備になるのです。
ちなみにこの清明祭(シーミー)は、首里地方では「御清明(ウシーミー)」と呼ばれています。
2019年の清明はいつ?
では2019年の清明はいつになるのか気になるところですが、ずばり4月5日(金)が清明の入りで4月20日(土)が清明の明けになります。
清明は、二十四節気は期間を表すものとして使われることもあるので、その場合は次の節気の前日までの期間となります。
春分(3月21日)→清明(4月5日)→穀雨(4月21日)なので、4月5日(金)から4月20日(土)の期間を清明と言うこともあるということを、是非覚えておいて下さい。
まとめ
ここまで「清明」について、意味や由来などさまざまなことをご紹介して来ましたが、いかがでしたでしょうか?
カレンダーに何気なく印刷されている文字には、私たちが生まれるうんと前に中国で生まれて日本に伝わった、とても歴史が長く多くの人に頼りにされた暦という役割があったのです!
それにまつわる清明節や清明祭などの風習も、古くから続いている伝統的なものなので、2019年の清明は以前と違う気持ちで迎えてみると面白いかもしれません。