休日などにドライブや買い物に出かけようと車に乗り込み、「いざ出発!」とエンジンをかけるために、キーを回したりプッシュスタートのボタンを押しても、エンジンがかからないととても焦ってしまいますよね。
車がうんともすんとも言わず動かないと、「昨日までは普通にエンジンがかかって、問題なく動いていたのに何で?」と軽くパニックに陥ってしまいますし、お出かけをする気マンマンでいたせっかくの楽しい気持ちも、どんどんしぼんでいってしまいます。
しかし、エンジンがかからないのは、そうなってしまう原因が必ずあるので、車のエンジンがかからない時にありがちな原因や、それぞれの対処法などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
意外と多い操作のミス
突然エンジンがかからず車が動かない状態に直面すると、どうしても焦ってパニックになりがちですが、エンジンがかからない原因で意外と多いのが操作のミスなので、一度冷静になって状況を確認してみることが大切になります。
スマートキーの車でブレーキを踏んでエンジン始動していない
スマートキーの車は、エンジン始動の際にキーを回すのではなく、ボタンを押すいわゆる「プッシュスタート」で車の発進や停車を行います。
プッシュスタート車は、スマートキーを所持した状態でブレーキペダルを踏むと、ボタンに緑色のランプが灯るので、ランプの点灯が確認できたらボタンを押すことでエンジンがかかるようになっています。
ボタンは押しているけれどもブレーキを踏んでいない場合は、電気系統には電源が入るものの、エンジンはかからないので注意してみて下さい。
Pレンジにギアが入っていない
Pレンジにギアが入った状態になっていないと、エンジンがかかることはありません。
そもそも、車を使用後にエンジンを停止させる際にも、Pレンジにギアが入っていないとエンジンが切れないようになっています。
エンジンをかける際にギアがPレンジ以外に入っているということはなかなか無いことですが、何かの弾みでシフトロック解除のボタンを押した状態のままでギアを動かしたとか、子供のいたずらなどで入っていなかったという可能性は考えられます。
このような場合は、警告音が鳴りますので、シフトロックを確認してみるようにして下さい。
マニュアルトランスミッション(MT)車でクラッチを踏んでいない
現在のマニュアル車(MT車)は、エンジンをかけるにはクラッチペダルを踏んでいることが条件となっているので、クラッチペダルを踏まずにエンジンをかけることができません。
一昔前までのマニュアル車は、クラッチペダルを踏まなくても、ギアが入った状態になっていればエンジンがかかるようになっていましたが、この場合車が勢いよく急発進してしまうので、故障などで動かなくなったなどの緊急事態で利用する方法となっていました。
しかし現在は年式と共に安全装置が付くなどして、エンジンをかけるための条件も変化しているので、冷静に焦らず確認することが大切になります。
バッテリー上がり
車のエンジンがかからないというトラブルの中でも、一番多いケースが「バッテリー上がり」です。
バッテリーは電池なので、キーを回してもエンジンはおろか車の電気系統が付かない「ACC(アクセサリー)」という通電状態にならないのであれば、バッテリー上がりの可能性が高いです。
バッテリーが上がってしまう原因としては、たとえばヘッドライトの消し忘れや、半ドアに気づかずルームランプがつけっぱなしになっていたなどの、ちょっとしたミスによるものが意外と多いのです。
実際にバッテリーが上がってしまった場合は、速やかに救援を呼び、故障車と救援車の端子をブースターケーブルで繋いでエンジンをかけるという対処法を行うことになります。
この時「金属部分に触れないように気をつけること」、そして「ケーブルのプラスとマイナスを間違えないこと」に注意が必要で、もしも金属部分に触れてしまうと「バチンッ!!」と火花が飛んで部品が焦げてしまう恐れや、プラスとマイナスの端子を間違って繋いでしまうと、ケーブルから煙が出て出火する恐れがありますので、必ず気をつけるようにして下さい。
バッテリーの寿命は2~3年なので、車に詳しくないという方であってもこのことをしっかりと頭に入れて、バッテリー上がりに遭遇しないようにメンテナンスを受けることをお勧めします。
車のバッテリーの交換時期などは、こちらで詳しくご紹介しております
ガス欠
車のエンジンがかからないというトラブルの中で、意外と多いのが「ガス欠」です。
実際にJAFの出動件数の中でもかなり多く、高速道路でガス欠になってしまってJAFに救援を頼んだというケースもありますので、早めの給油を心がけてガス欠を未然に防ぐようにして下さい。
また、車によってはガス欠を示す「エンプティーランプ」が元から点灯しないという場合もあるので、ランプが点かないからといってギリギリまで給油をしないというようなことは避けることをお勧めします。
日常的に車に乗っているのであれば、大体どれくらいの間隔で給油をしているかといったことがわかると思いますので、こまめな給油を意識してガソリンスタンドに寄る習慣をつけることが大切になります。
スマートキーの電池が切れている
キーを取り出す必要がなく、両手が塞がっていても簡単に解錠できるスマートキーは非常に便利ですが、内蔵されている電池が切れてしまうとエンジンがかからなくなるケースも多いので注意が必要です。
スマートキーに付いている開閉スイッチを押すと、電池が切れているかどうかを確認することができ、スイッチ部分が点灯すればまだ電池は残っていますが、何度押しても点灯しないのであれば、電池が切れてしまっているということになります。
ただ、電池切れになってまだ間もないのであれば、わずかに電池が残っている可能性があるので、車体のエンジン始動ボタンにスマートキーを近づけると反応する場合もあるため、一度試してみることをお勧めします。
ハンドルロックされている
ハンドルロックとは、ハンドルに付いている盗難防止用のロック機能のことで、車のエンジンを切ってキーを抜いた後にハンドルを回してしまうと、ロックがかかってその後のエンジンがかからなくなります。
ハンドルロックを解除するためには、ハンドルを左右に回しながらエンジン始動させると、キーが回ってロックが解除されます。
プッシュスタート車の場合は、ハンドルを右か左のどちらかに回すと同時に、エンジン始動のボタンを押すだけで解除されるので、ロックがかかって焦ってしまう前にこれらの対処法を試してみるようにして下さい。
また、エンジンを切って車を降りる時に、ついハンドルを手すり代わりにしてしまうという人は、ハンドルロックになっている可能性が高くなりますので、気をつけることをお勧めします。
セルモーターの故障
セルモーターとは、エンジンをスタートさせる装置のことで、エンジンをかけるために必要な最初の回転運動を、強制的に起こすという役割があります。
エンジンをかける前に、電気系統に電気が通った状態である「ACC(アクセサリー)状態」にはなるけれども、回転する時に発する「キュルキュル」や「カシャンカシャン」といった音が聞こえない場合は、バッテリーではなくセルモーターの異常が考えられます。
セルモーターを叩くことでエンジンがかかる場合がありますが、セルモーターは叩きやすい位置にはありませんし、はっきりとセルモーターに異常があるとわかっていないまま叩いてしまうと、違う部品に影響してしまう恐れがあるので、できるだけ自己判断で対処せずに、ディーラーなどのプロに見てもらうことをお勧めします。
車のエンジンがかからない時にセルが回る場合とセルが回らない場合がありますから、こちらの記事をご参考下さい
プラグorプラグコードの不良
ブラグとは点火装置のことで、車体が「ACC(アクセサリー)」という通電状態になっていて、セルモーターもきちんと回っているのにエンジンがかからないという場合には、点火装置であるプラグやプラグコードに異常がある可能性が高いです。
プラグは点火の際に、その先端部分から火花が発生しますが、使用頻度が増えるにつれて火花が出にくくなると、燃料に点火することができなくなるので、その結果エンジンがかからなくなるのです。
年式や車種にもよりますが、プラグは車に1本のみではなく何本か複数存在しているので、たとえ1本が不良だったり動作が不安定だったとしても、エンジンがかかって走行することができる場合もあります。
ファンベルトが切れている
ファンベルトは車のボンネットを開けると、多くの場合左側に設置されていることが多く、ベルトの張りが緩んできたり切れそうになっていると「キィィーーーッッ!!」と、エンジンルームから高い異音が聞こえてくるので、明らかに車に異常があることがわかります。
ファンベルトの張りが緩んでいるだけである場合は、その緩みを調節すれば問題は解決しますが、先ほどのような異音が聞こえたら、できるだけ早く点検などに出すことが大切になります。
一方で、経年劣化や摩耗によってファンベルトが切れそうになっていて異音も確認できる場合は、後々重大なトラブルの原因となる可能性が高くなりますので、そのまま放置せずに早めにディーラーなどで見てもらうようにして下さい。
燃料ポンプ系の故障
燃料ポンプは、その名の通り燃料を送る装置で、セルモーターは回っているのにエンジンがスタートしないという場合は、点火装置であるプラグと共に故障の原因となるケースが多い部分です。
燃料ポンプが故障すると、燃料が送られなくなるので、その結果としてエンジンがかからなくなりますが、故障ではなく燃料ポンプの内部が汚れで詰まっているだけという場合は、その汚れがある程度沈殿することでエンジンがかかるという場合もあります。
燃料ポンプは車検などできちんと定期的に交換するというものではないため、車種や年式によって細かな違いはあるものの、走行距離が5万km~10万kmを目処にして交換するようにしておくと安心です。
メインヒューズが切れている
さまざまな要因が重なるなどして何らかの原因で過電流状態になった際に、電気回路を守るため、回路を遮断する働きをしているのがヒューズで、家庭で言うブレーカーのような役割を持っています。
ヒューズが切れた場合は、当然のことながら新しく交換する必要がありますが、ただ新しくすれば問題が解決するという訳ではなく、せっかくヒューズを新調しても、過電流となった原因を改善せずそのままにしていると、またヒューズは切れてしまい、その繰り返しとなります。
また、ヒューズが切れた状態をいつまでも放置していると、出火するなどの危険な状態に陥る可能性が高くなってしまいますので、早めにディーラーなどに修理に出すことをお勧めします。
自分でできる対処法
小さな操作ミスをしていないか確認する
ハンドルがロックされていないか、ギアはPレンジに入っているか、ブレーキペダルやクラッチペダルを踏んでいるかといった、エンジンをかけるために必要な基本操作がきちんとできているかをまず確認して下さい。
原因がバッテリーにあるかどうかを判断する
キーが回っていてもエンジンがかからない場合、キュルキュルとした音が聞こえるのであれば、バッテリーが不足している可能性があります。
また、バッテリーそのものを目視してみて、粉のようなものが端子に付着していたり、錆びている場合はそれらをヤスリなどで削り取る必要がありますが、感電やバッテリー液が漏れている恐れがあるため、端子は素手で触らずにゴム手袋を着用するようにして下さい。
キュルキュルとした音はしないけれども、カチカチとした音がするのであれば、完全にバッテリーが上がっている可能性が高いので、充電をして対処するようにして下さい。
燃料が入っているか確認する
少しでもバッテリーの電気が残っていれば、電気系統の機器は点灯するので、メーターを見て燃料の残量をチェックしてみて下さい。
燃料が無いのであればエンジンは動きませんので、ガソリン専用の金属製タンクを持っている場合は、近くのガソリンスタンドで入れてもらってから給油します。
それらが無い場合は、近くのガソリンスタンドに配達可能かどうかの相談をしたり、ロードサービスを呼んで給油をしてもらうようにして下さい。
契約しているロードサービスに連絡する
車のエンジンがかからなくなってしまうと、つい冷静ではいられなくなってしまいますが、落ち着いて状況を確認するようにして下さい。
さまざまな対処法を行ってみても問題解決や改善が見られないようであれば、自力で対処することは難しいということなので無理をせず、ロードサービスに連絡をしてプロに任せることをお勧めします。
自動車保険の種類などによって違いはありますが、自分が加入している自動車保険にロードサービスが付帯している場合は、無料で対応してくれることもあったりします。
いざという時に慌てずに済むように、日頃から加入している自動車保険の内容を把握しておくことが大切です。
専門知識が豊富なプロのスタッフに任せることで、二次的な故障を避けることができますし、安心できるのでお勧めです。
JAFに連絡する
JAFは全国どこにいても繋がる、年中無休で24時間対応可能なロードサービスなので、JAFに加入しているという場合は、専門家からアドバイスを受けられると安心で確実ですので、速やかに連絡をして対処してもらうことをお勧めします。
現在の自動車保険はロードサービスが無料で付いていることが多いですが、自分が加入している自動車保険に万が一付いていないという場合や、無料で頼めるロードサービスに回数制限があるなどといった場合には、JAFに連絡するようにしてみて下さい。
全国各地に支部があるので、日本国内ならどこにいても電話やメールなどで基本的にすぐに駆けつけてくれるので、ドライバーにとってとても心強い存在です。
まとめ
車のエンジンがかからない時のさまざまな原因や対処法をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
「昨日までは普通に走っていたのに、今日になって車が動かなくなった!」といった状態になると本当に焦ってしまいますが、大切なのは冷静に状況を判断して、原因を突き止めて適切な対処をすることです。
パニックになって慌ててしまうと状況が悪化する可能性もありますので、もしもエンジンがかからないという事態になった際は、落ち着いてこの記事を参考にしてみて下さい。