重曹の優れた洗浄・消臭能力が近年注目され、ドラッグストアやホームセンターの掃除グッズのコーナーにはよく重曹が置かれるようになりました。
多くの用途のある重曹は安心安全なアルカリ剤として、小さなお子さんやペットがいる家庭にこそおすすめになります。
お料理やスキンケア・歯磨き・お風呂の入浴剤など様々な使い道のある重曹ですが、お掃除での使い方については、まだまだご存知ない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、重曹の成分や注意点なども踏まえてお風呂やキッチンで最も効果を発揮する重曹の使い方についての掃除の仕方を詳しくお伝えしていきたいと思います。
重曹とは?
今や様々な用途の使い道のある重曹ですが、体に害はないのか?というような不安を抱いている方も少なくありませんから、重曹とはいったいどのようなものなのかを詳しくご紹介しておきたいと思います。
重曹の成分
重曹は、化学式CHNaO3で表される、正式には炭酸水素ナトリウムもしくは、重炭酸ソーダとよばれる物質で、水に溶けると弱アルカリ性の性質をもつのです。
ソーダのことを漢字で曹達と書きますから、重炭酸曹達を略して重曹というふうに言われているわけなのです。
ちなみに英語では、ベーキングソーダ(baking soda)という名称になっております。
炭酸水素ナトリウムというと化学薬品のように聞こえますが、海や川そして湖など自然界における水には、ほとんどといっていいほど、炭酸水素ナトリウム=重曹は含まれている天然成分でナトリウムの化合物になるのです。
重曹は自然界では、浄化システムの役割を担っていて実は、私たち唾液や体液・血液にも含まれる物質で、口の中にいる菌が発生させる酸が歯を溶かさないように防ぐ役目や胃酸を中和することで潰瘍(かいよう)にならないような働きをしているのです。
重曹が体には、安全といわれる理由は、このように私たちの体における必要な物質になっているからなのです。
重曹の特徴
重曹には次のような特徴が主にあります
- 溶液の液性を示すph(ペーハー)は、8.2~8.4程度で弱アルカリ性の性質
- 常温だと白い粉末状で長期保存が可能です
- 熱を加えると分解する特徴があり、炭酸ガスが発生します
- 細かい粒子で、水に溶けにくい性質となっています
重曹の歴史
重曹は、紀元前からその存在は認識され生活の中で活用されていたようですが、18世紀頃にアメリカ大陸にヨーロッパから移民してきた人々がイースト菌は高価なので安価な重曹を使ってパンづくりを行っていたことが結構、有名だと思います。
1839年にアメリカのニューヨーク州に住む医師のオースチン・チャーチが薪の火の上で加熱したソーダ灰=炭酸ナトリウムが二酸化炭素と湿気に反応することで炭酸水素ナトリウムに変化することを発見したことで人工で重曹がつくられるはじまりだと言われており、そこから広く世の中で重曹が使われるようになっていったのです。
重曹を掃除で使う際の効果
食品添加物から医薬品に使われるようになってきた重曹ですが、お掃除に使う用途としては次のような効果があるのです。
中和作用の効果
重曹は、弱アルカリ性の性質がありますから酸性の汚れに対して中和して分解することで落とす効果があります。
発砲作用の効果
加熱すると炭酸ガスを細かい泡で発生させる作用が重曹にはありますから、その泡に力によって汚れを浮かせて落とす効果があるのです。
研磨作用の効果
細かい粒子の重曹は、研磨剤としても活用できますから磨くと汚れを落とせる効果があります。
但し、同じアルカリ性質の汚れである頑固な水垢などには、研磨作用の効果は低いです。
消臭作用の効果
酸性のニオイに対して、中和して分解しますので、生ゴミなどの腐敗臭や体から発せられるクサイ臭いの体臭などに効果的になります。
但し、トイレの臭いはアンモニアでアルカリ性なので重曹で消臭するのは難しいです。
吸湿作用の効果
吸水性についても優れた効果がありますから、湿気対策としてカビ防止にも役立ちます。
重曹のお風呂掃除での使い方
お風呂は皮脂や汗が溜まり酸性の汚れですから、重曹を使い風呂場の床や小物の掃除には効果的になります。
また、お風呂で厄介な汚れである黒ずみやカビについても重曹にお酢を混ぜクリーム状にして洗いますと落ちるようになりますからお試し下さい。
お風呂の洗面器や椅子は浴槽に重曹とお湯でつけ置き洗い
洗面器や椅子など浴室に置いてある小物は、ほっておきますと湯垢やヌメリが気になるので、入浴後の残り湯と重曹を使ってきれいにすることができるのです!
洗面器や椅子のヌメリを落とす重曹の使い方
温かいままのお湯に200リットル(一般家庭の浴槽約70%の水量)あたり1カップの重曹を加えて、しっかり混ぜてから浴室にある小物を半日程つけて置いてください。
つけている状態でも十分汚れが落ちていますが、汚れが残っている場合はスポンジなどで軽く拭いて水洗いして、しっかり乾燥させてください。
細かい部分は綿棒や古い歯ブラシなどを使うときれいに落とせるようになります。
お風呂場の浴槽の掃除も同時に行いますから、一石二鳥なのです!
排水口・床やゴムパッキンは重曹クリームクレンザーでお掃除
重曹はお風呂の嫌な黒ずみやカビの掃除にも効果を発揮するんです!
お風呂場の黒ずみやカビは頑固で落ちにくいですから、お酢を混ぜ合わせてつくる、洗浄力がアップした重曹クリームクレンザーで掃除するのがポイントになります。
重曹クリームクレンザーの作り方
- 材料は、重曹・液体石鹸・酢
- ボールに重曹100ml(カップ1/2)を入れます
- 液体石鹸50ml(大さじ3杯+小さじ1杯)を入れて混ぜ合わせます
- お酢15ml(大さじ1杯)を入れます
- クリーム状になるまで混ぜていきます
こちらの動画で詳しく重曹クリームクレンザーの作り方を解説していますのでご参考下さい
排水口・床やゴムパッキンの汚れを落とす重曹の使い方
お風呂の排水口・床やゴムパッキンの黒ずみやカビに重曹クリームクレンザーを塗り1日程度放置して下さい。
放置しておいた重曹クリームクレンザーをスポンジなどで軽く擦ります
シャワーで洗い流せばピカピカのお風呂場になります。
重曹のキッチン掃除での使い方
弱アルカリ性である重曹のお掃除の使い道で最も効果を発揮するのが、酸性の汚れが多いキッチンになります。
- シンク
- グリル・コンロ
- 電子レンジ
- 換気扇
- 排水口
- 電気ケトル
とキッチンのほとんどの場所で重曹は重宝します!
重曹でキッチンをピカピカにする使い方についてご紹介していきたいと思いますのでご参考下さい!
シンクの水垢の汚れは重曹を直接ふりかけお掃除!
重曹が持つ研磨効果で水垢や洗剤残りの汚れがきれいに落ちるようになります。
シンクの軽い水垢汚れを落とす重曹の使い方
シンクの軽い水垢の汚れには濡らしたスポンジに直接重曹を少量だけふりかけ、数回泡立てるように握って水になじませてから優しくこするようにして下さい。
クレンザーなどに比べて重曹は柔らかいので、シンクに傷がつきにくくなっています。
さらに重曹には消臭効果もありますので、肉や魚の不快な匂いを消すこともできたりします。
塩や粉末スープの空き瓶・空きボトルで利用して少しずつ出して使うことができるのでお勧めです。
シンクの頑固な汚れにはクエン酸を混ぜ重曹ホイップクレンザーでお掃除
シンクの汚れで軽い水垢や洗剤残りなら重曹だけでもお掃除は可能ですが、白く固まってしまったシンクの汚れは炭酸カルシウムというアルカリ性の物質の汚れになっていることが多いですから、重曹だけでは簡単に落ちません!
そこでクエン酸を混ぜた重曹ホイップクレンザーで重度に固まった汚れを落とすようにします!
重曹ホイップクレンザーの作り方
- 材料は、重曹・液体石鹸・クエン酸・水
- ボールに重曹100ml(カップ1/2)を入れます
- 液体石鹸25cc(大さじ2杯)を入れて混ぜ合わせます
- クエン酸5cc(小さじ1杯)を入れます
- 水を少しだけ入れます
- 粉っぽさがなくなるま水を足しながら混ぜていきます
- しばらく混ぜ合わせているとフワフワとしたホイップになっていきます
こちらの動画で詳しく重曹ホイップクレンザーの作り方を解説していますのでご参考下さい
クエン酸の変わりにお酢でも代用が可能になります。
シンクの重度な汚れを落とす重曹ホイップクレンザーの使い方
使い方はいたってシンプルで、作った重曹ホイップクレンザーをヘラなどを使ってシンクの重度な汚れの部分にたっぷりと塗布して、5分程度放置します。
5分たちましたら、水で洗い流してみて下さい(水が洗い流せない場所には、雑巾などでふき取って下さい)
頑固でなかなか落ちなかった汚れがキレイに落ちてキッチンがピカピカになると思います。
重曹とクエン酸の違い
重曹は酸性の汚れに強く、クエン酸はアルカリ性の汚れに強いのが掃除で活用する主な違いになります。
汚れの種類によっては、このように組み合わせて使うと効果的なんですね!
クエン酸は、重曹と同じように掃除によく活用されますから、クエン酸の掃除での使い方について、こちらの記事を参考にしてみて下さい!
シンクの排水口のヌメリは、重曹+酢でお掃除
シンクの排水口のヌメヌメの正体は、食材のカスや油の汚れです。
排水口ヌメリを落とすには、重曹の発砲作用を活用してお掃除するとキレイになるのです。
シンクの排水口のヌメリを落とす重曹の使い方
排水口のヌメリに重曹を振りかけた後、その上から酢をかけます。
すると重曹と酢が反応して炭酸ガスが発生し、ムクムクと発砲を始めます。
30分ほど放置した後に、重曹が最も反応を起こしやすい40度くらいのお湯をかけて反応を促進させ、あとは水で洗い流すだけであの嫌なヌメヌメがきれいさっぱりなくなります
焦げてしまった鍋やフライパン掃除は重曹+熱湯で浮かせる
鍋やフライパンは使い続けると汚れがこびり付き、それが焦げて取れなくなってしまいます。
このコゲがなかなか洗っても落ちないですから重曹に熱湯をプラスすることでキレイにすることができるのです。
鍋やフライパンの汚れを落とす重曹の使い方
- 鍋やフライパンに水を張ります
- 大さじ1杯程度の重曹を入れて火にかけて沸騰させて下さい。
- 火を止めてしばらく放置します。
数時間後には焦げが浮き上がってきますから、スポンジで軽くこするだけでも焦げ付きを取ることができます。
しつこく残る場合は放置する時間を延ばしたり、再び重曹を鍋やフライパンに振りかけ、たわしを使ったりして落としてみて下さい。
外側の焦げを落とす場合は、鍋やフライパンが入るサイズの容器を用意し、40度ぐらいの熱湯を張って重曹を加え、鍋やフライパンをつけ置きしてください。
1時間ほどつけ置きした鍋やフライパンを取り出し、水を少し加えてペースト状にした重曹を頑固な焦げ部分に塗布し、しばらく放置してからたわしやスポンジで落とすようにすると焦げたところが落ちるようになります。
グリルやコンロの焦げ付きには重曹+酢が効果的!
グリルやコンロについた真っ黒コゲの頑固な汚れは、見るだけでぐったりしてしまいますよね・・・
ゴシゴシとこすってもびっちりと張り付いて、落とすのはかなり大変です!
こういった黒コゲの頑固な汚れへの重曹の使い方は食器用液体せっけん、酢を加えた特製の重曹パックにして使うとしっかりと汚れを浮かせてお掃除ができるので効果的です。
グリルやコンロの汚れを落とす重曹の使い方
- 重曹40gを準備して下さい。
- 食器用液体せっけんを大さじ4杯、酢を大さじ1杯加えてよく混ぜます。
- 固い場合は水を少しずつ足しながら全体的にふわふわと泡立てます。
- この特性パックをグリルやコンロの汚れにたっぷりと乗せます。
- ラップをして15分~30分放置します。
そのあと古い歯ブラシや掃除用のブラシでこすってあげると、あんなに頑固だった焦げ付き汚れが面白いほど、ポロポロと落ちるのです!
電子レンジの掃除は重曹水をチンして使う
電子レンジ内の汚れは重曹+熱の力で、簡単にきれいさっぱり落ちるようになります。
電子レンジの汚れを落とす重曹の使い方
- 耐熱の容器に水と重曹を同量ずつ入れ、よく溶かします。
- できた重曹水をラップなどかけずに電子レンジに入れます。
- 500Wで2分ほど加熱して十分に沸騰させます。
- 15分ほど放置して下さい
汚れがしっかりと浮いてきますので、乾いた布でふき取るだけでレンジ内の油汚れがきれいさっぱりなくなります。
熱で汚れを浮かせるので、やけどには十分注意してください。
換気扇の汚れは重曹+水のペーストで浮かせて掃除する
油とホコリがたっぷりとついた換気扇を、掃除しなければならないとわかっていても、あんまりにベタベタ過ぎてなかなか手が付けられませんよね・・・
そんな換気扇も重曹と水のペーストを使えばあっという間にきれいさっぱりピカピカになります!
換気扇の汚れを落とす重曹の使い方
- 重曹と水を2:1の割合で混ぜ、重曹のペーストを作ります。
- その重曹のペーストを換気扇に直接塗ります。
- 20分~30分ほど放置をしてから洗い流します。
これだけでベタベタ&ドロドロの換気扇はピカピカになりますから、細かい部分の汚れはペーストを付けた歯ブラシで磨くときれいになります。
冷蔵庫内は重曹を水で溶かしスプレーでお掃除
冷蔵庫のトレーやポケットは、食材が直接触れて汚れやすい場所です。
重曹を水で溶かしスプレーに入れて吹き付けると効果的です!
冷蔵庫内の汚れを落とす重曹の使い方
重曹水をスプレーで吹きかけて5分ほど置いたあとは、布で拭うだけで、冷蔵庫内もピカピカになるのです!
更に冷蔵庫の中の隅の方やパッキンなど、カビが発生しやすい場所は綿棒に重曹水を付けてこするときれいになっていくのです。
重曹は、アルカリ性ですから肉や魚などの酸性のニオイを中和する働きがあるので、冷蔵庫にこもっていたイヤ~なニオイもきれいさっぱりなくなります。
電気ケトルの注ぎ口の汚れは重曹+酢ですっきりキレイに!
なかなか注ぎ口やポンプまでは洗えない電気ケトルの主な汚れは水道のカルキや白いカルシウムの汚れです。
電気ケトルの注ぎ口の汚れを落とす重曹の使い方
電気ケトルの中に重曹と酢を同量入れて、その上からメモリいっぱいまで水を入れたあとに、通常通りお湯を沸騰させます。
沸騰したらそのまま1時間ほど放置して、注ぎ口から重曹と酢の入った水を捨てます。
そのあともう一度メモリいっぱいまで水を注ぎ、再び沸騰させて注ぎ口から捨てれば、普段掃除のできない注ぎ口やポンプの汚れがきれいになっています。
重曹のトイレ掃除での使い方
トイレの便器やタンク内のお掃除においても重曹は役立ちます!
トイレの黒ずみや黄ばみなどは、アルカリ性と酸性が混ざり合った汚れになっていますから、重曹にお酢もしくはクエン酸を混ぜ合わせた使い方で掃除するほうが効果が高いのです。
便器の汚れを落とす重曹の使い方
- 便器内側に重曹を粉末状のままふりかけます
- 振りかけた重曹の上からお酢かクエン酸をかけます。
- 重曹がお酢に反応してシュワシュワと発砲しはじめます。
- 20分~30分ほど放置をしてから洗い流します。
便器のフタや壁・床などは、キズがつきやすいですので研磨効果のある重曹を使わずにクエン酸スプレーをつくり、布やタオルなどに吹きつけてから拭く方法が一番やりやすいと思います。
トイレタンク内部の汚れを落とす重曹の使い方
またトイレタンクの中の掃除には重曹を1カップほど投入してから6時間ほど放置すると汚れが浮き上がってきますから、あとは流すだけで完了です。
トイレタンク内部は、酸性の洗浄剤を入れてしまうとタンク内の器具を傷める原因になってしまいますから、お酢などは混ぜずに重曹だけで洗うようにして下さい。
詳しい方法については、こちらで解説しています
重曹の洗濯層掃除での使い方
重曹は本当に万能で洗濯層のお掃除にも効果がありますからこの方法もぜひお試し下さい
- 洗濯層に40℃もしくは50℃のぬるま湯を最大水量まで入れます。
- 重曹をカップ200ml(1杯分)を入れます。
- 洗いだけのコースで洗濯機をまわします。
- 洗いだけが終わったら最低5時間は放置しておきます。
- ゴミなどがあると思いますのですくって捨てて下さい。
- もう一度、洗濯機をまわします。
- もう一度、ゴミをすくって捨てた後に排水して下さい。
- 新しい水を入れて洗い⇒すすぎ⇒脱水まで行って終了です。
重曹を掃除に使うときの注意点
キズが付きやすいような素材には使用を控える
プラスティックや漆器のような素材に重曹を使いますと粒子の細かさのためキズをつけることになってしまいますから注意して下さい。
アルミ製の鍋や調理器具に重曹を使うことは避けてください!
その理由というのが、重曹のアルカリと熱湯の影響で腐食が起きることがあり、穴が空いてしまったり、黒ずんでしまったりする恐れがあるからなのです。
手荒れし易い人は使用時にゴム手袋を着用下さい
重曹は、粒子が細かいため擦るような掃除で使用する際には、手荒れし易い方はゴム手袋などを着用することをお勧めします。
湿気を吸わないようにフタ付きの容器で管理する
重曹は、湿気を吸うと固まってしまうことがありますから管理についてはフタ付きの容器などで保管するようにして下さい。
まとめ
重曹を使った様々な掃除での使い方をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?
お風呂やキッチンの酸性の汚れは重曹が得意とする汚れなので、ほとんどの場所で重曹が活躍できますね。
またクエン酸と組み合わせたりすることで洗浄効果もアップしますから、今回ご紹介した重曹の使い方をぜひお試し下さい。
お風呂やキッチンの汚れはベタベタヌメヌメで大変なところが多いですが、重曹のパワーできれいさっぱり気持ちの良い、ピカピカのお風呂場やキッチンにしてしまいましょう!