会社を辞めようという意思が固まった時、会社を辞めることの意思表明をしなければならないわけですが、退職届と退職願そして辞表のどれを提出するべきか、よく分からないもので迷われる方は結構いらっしゃいます。
退職届、退職願、辞表のいずれも自己都合で会社を辞める際に会社側から求められ提出しなければならない書類になるわけなのですがそれらには違いがあることをご存知でしょうか?
これは民法および労働解約法の「労働契約の解除の申し入れ」を行うためのもので、どれも役割は同じなのですが、この3つのどれを提出してもよいというわけではありません。
- 会社を辞める意志を書面として提出したのに、間違ったものを提出してしまったがために会社を辞めることができなくて肩身の狭い思いをすることになった・・・
- やっぱり会社に残ろうと思ったけど書面を撤回することが出来ずに職を失うことになってしまった・・・
というような事態を防ぐためにも、退職届、退職願い、辞表の違いを知っておかなければならないのです!
退職届と退職願、辞表はそれぞれどんなタイミングで提出すべき書類なのかその違いについては明確に決まっていますから使い道についてご紹介したいと思います。
退職届とは
退職届とは、文字通り退職を届け出る書類で「〇月×日に退職いたします」という退職への強固な意志を表明するものです。
この退職届を提出すると、届が受理された時点で退職が決定、その意思表示を撤回することはできません。
なので「〇月×日」という日付が変わる可能性がある場合や、退職の意志を撤回する可能性を感じる時は、退職届を出すことはおすすめできません。
しかし、特別な理由があった場合のみ、撤回することができる場合もあります。
退職届を出す場合は、あらかじめ上司などに相談した上で、仕事を辞めることが明確で、同意をもらっている場合に出すもので、基本的には退職願を出すことが多いので、退職届を出す場合は退職届で合っているか、今一度状況を確認するようにして下さい。
退職願とは
受理された時点で退職が決まる退職届とは違い、相手の合意によって労働契約を解約してもらうための申し出を行うためのいわゆる申し込みの段階の書面が退職願となります。
会社が承諾して、初めて退職が認められるのですが、退職願は退職届と異なり、提出、受理された時点では退職とはならず、会社が退職の申し出を承諾するまではその書面に記した意志を撤回することができるのも退職願のひとつの特徴です。
しかし、退職願がいつまで経っても受理されないという場合は、会社の規則に沿って退職願を呈出したかを確認したうえで、自分はきちんと労働契約の解除の申し入れをしましたという内容証明を郵送、または労働基準局に申告するという形で対策しましょう。
退職の申し出とはいえ、きちんと辞めたいという意思を会社に相談した上での書面であれば、いつまでたっても受理されないということはありませんし、会社側に拒否はできません。
辞表とは
よくドラマなどで上司に向かって辞表を提出するシーンを見かけますが普通のサラリーマンの場合ですとちょっと間違いなんです!
辞表は、退職届や退職願と同じように労働契約の解除の申し入れを行うための書面であることには変わりないのですが、辞表を出すのは取締役など、会社経営に関わる役員もしくは公務員のみなのです。
会社と雇用契約を結んでいるかどうかがポイントで役員の場合ですと会社と契約する内容というのが委任契約になるので辞表を提出するのです。
公務員については、法律で定められた労働条件を行政から委任されるという形式になりますから任用を断るという意味から辞表を提出するということになるわけなのです。
退職届と退職願の違いとは?
会社を辞める際に一般的に用いられるのは退職願です。
辞めますといった一方的な文面の退職届より、辞めたいのでよろしくお願いしますという文面の退職願の方が、柔らかい印象を受けますよね。
退職届と退職願には
- その書面を撤回できるかどうか
- 受理された時点で退職となる届け出か、提出することで退職をお願いする申し込みをするものか
というところに大きな違いがありますが、円満退職をするためにも、そして一人の立派な社会人として、恥ずかしくない行動をとることがベストです!
会社を辞めようという意思が固まったら、どんな理由があったとしても、まずはいきなり労働契約の解除の申し入れをする書面を提出するのではなく、遅くても1か月前には上司に相談して、具体的に退職したいという旨を伝え、日にちなどもしっかり相談して、了承してもらった上で労働契約の解除の申し入れである書面を提出して下さい。
退職届・退職願の正しい書き方についてはこちらをご参考にされて下さい
退職届・退職願の正しい書き方と封筒の選び方
よく退職願がいつまでも受理されず、退職の手続きが進まなかったり、辞めさせてはもらえないのに一度退職願を出したことで居心地が悪い中仕事をし続けなければならなくなった・・・という話も耳にしますが、このような場合には次のような対応をする必要があるのです。
- 内容証明を郵送すること
- 労働基準局に申告すること
このふたつをもって対処するようにして下さい
さらに、引き止められても、退職がきちんと考えた上での決断であるということ、退職の意志がとても強いことをしっかりと伝えることが大切になってきます。
まとめ
退職届、退職願、辞表の違いをご紹介致しましたが、参考になりましたでしょうか?
退職届、退職願、辞表の違いは知っていて損するものではありませんから充分理解した上で誠実な行動を行うようにして下さい。
「自分の口で、自分の意志を、前もって会社側に伝えておく」ということが社会人として、ひとりの人として、退職届を出すか?退職願を出すか?よりも大切なことなのかもしれませんね。